私の不妊体験談

今、これを書いている私のすぐ側から小さな寝息が聞こえています。すでに私と主人のかけがえのない宝物となっている娘の寝息です。私は寝不足で疲れているはずなのに、いつまでもこの天使のような寝顔を見つめていたい気分です。 こんな満ち足りた気分で子どもを見ることができるなんて、最初は想像もつきませんでした。この子は、私が卵子提供を受けて産んだ子なのです。

私の人生は順調だと思っていました。大学を卒業し、就職。勤務先の先輩だった主人と出会って 30歳の誕生日を目前に結婚。

そして、結婚後すぐに妊娠と、そこまではよかったのですが、妊娠が分かったあとの検診を幸せな気分で受けに出かけたのに、胎児の心拍が確認できず、稽留流産に。
訳が分からないまま、流産の処置を受けていました。

なにも躊躇することなく周りの人に早々と妊娠報告をしてしまっていた私は、本当にその頃無知だったのです。 流産のショックから立ち直るまでに少し時間はかかりましたが、「1回妊娠できたのだから、またすぐにできるよ」と周りから励まされ、自然にまかせていましたが、その後はまったく兆しがない状態が続き、思い切って検査を受けたところ、すぐに治療に入ったほうがよいという診断。

なにも文句を言わずに忙しい仕事のスケジュールを調整しながら協力してくれていた主人にも申し訳なく、ある日わざと明るい声で、「卵子提供っていう手段があるんだって言われちゃった!」

不妊の体験談について

 卵子ドナーや代理母を依頼する非配偶者間生殖医療プログラムや、着床前遺伝子診断プログラムなど、日本国内では自由に参加できないプログラムについて考慮するとき、やはり大きな不安が先に立つのは当然のことと思います。私は2006年の終わりまでに、およそ500組のご夫婦のお手伝いをいたしました。

しかし、日本国内で認可されていないなどの理由で、前述のプログラムに参加された方たちとその後に続くご夫婦との間に、直接的な交流や情報交換の場をもつことは、やはり社会的側面の理由からも、とても難しい状況です。ご自身の選択を信じていても、一旦お子さんが授かったあとでは、どうしてもその事実を周囲には知られたくない、というご夫婦が多いためです。

そこで、数々の困難を乗り越えたのち、すでにお子さんを授かり、「普通の幸せ」を手に入れたご夫婦の声を、いくつかお伝えしたいと思います。

体験談は、実在の患者様から頂戴したものですが、掲載に当たりご本人様の了承のうえ、一部加筆訂正させていただいております。